人間が負うべき責任をAIに押し付ける行為は、前に書いたものに限った話ではなく、度々見られる。
スマートフォン(やPCの類)は全力で処理を行うと電力消費と発熱量が増える。常に全力で処理をするスマートフォンを作っても、「高速だが電池の持ちが悪く熱い」という評価になるだろう。そこで、大容量バッテリや放熱などの技術も重要になってくるが、価格や重量や実用性などを考えると、ある程度処理性能を抑えることになる。
しかし、ベンチマークテストで数値を比較された際に、自社のスマートフォンを他社よりも良く見せたい。そこで、ベンチマークだけ全力で処理するインチキをするメーカーが以前何社も出てきた。ただ、指摘を受けてやめたメーカーが多い。
あくまで昨年の記事だが、HuaweiやOppoは、ほかのメーカーが改心した後もインチキ (cheating) をしているというものである。具体的には、一般に配布されているベンチマークと同じ処理をする非公開のベンチマークで出てくる数値が違うというもの。同じ処理なのでインチキをしていない機種ではほぼ同じ数値になるが、これらのメーカーの機種では公開されているベンチマークだけ異常に高性能であるという結果になる。
これに対して、指摘されたメーカーは、ベンチマークだけを良くする仕組みではなく「AIがプログラムをスキャンしてパフォーマンスを調整している(意訳)」と弁明したらしい。実際には実行ファイル名などでベンチマークかどうかを判別しているだけのようだ。
なので、メーカーの言い分は、真っ赤な嘘……と言いたいところだが、
IF 実行ファイルの特徴が有名ベンチマークと一致 THEN
ガンガン行こうぜ
ELSE
パッテリをだいじに
ENDIF
こんな IF ~ THEN
ルールであっても人工知能 (Artificial Intelligence, AI) の定義からは外れていないので、嘘とは言い切れない。
(まあ、嘘でなかったとしてもダメですけどね。)