AIに溺れるな (4)

いや、前回で終わりのつもりだったんだけど、燃料が届いたので。まあ、これもAIをダシにした何かだよね。

大学入試のマークシート偏重に識者「将来の失業者量産」危惧
https://www.news-postseven.com/archives/20191216_1506306.html

なんというかツッコミどころ満載すぎて。そもそも、高校教育のゴールって大学入試なの?それが現実だというならその是正が先でしょう。

「シンギュラリティ」の話の後に「東ロボ君」の話が来ているけれど、

つまり、マークシート試験で測っている能力は、いずれすべてAIで置き換えられるということです。マークシートで問える能力を磨くための学びとは、“失業者の養成”にほかなりません。

「東ロボ君」は現在というか少し前の研究の産物でして。本当に「シンギュラリティ」の時代になったとしたら前提が覆っているはずなので、「東ロボ君」に「できたこと/できなかったこと」ベースの話はあんまり関係ないと思いますよ?

このロジックで記述式導入をゴリ押ししてる人達、「記述式問題が解けるロボ」が完成したらどうするんでしょうね?

あと、入試で測るべきものの話と、AIでどこまでやれるのかのチャレンジを一緒にするのもどうかと思いますね。

マークシート試験というのは、「人から与えられた選択肢の中から、一つ一つ重箱の隅をつつくように間違いを探して、消去法で正解を選ぶ」という試験です。

本気でそんなことが問題だというなら、5択とかをやめて20択くらいにすればいいんですよ。消去法だと時間が足りなくなるからできなくなるし、採点は従来通りできる。

しかし、これまで国立大の約半分と慶應大以外の私大はマークシート試験のみだったのです。

これは山ほどツッコミが入ってるけど。文科省の中枢にいた人、大丈夫?

共通テストの場合では、1つの答案に対し、採点者3人で採点し、上司がチェックするというのを4層重ねて採点をすることで、ブレを小さくすることになっていました。

入試にここまで不合理なコストをかける判断が理解できないんですよね。肝心の教育に使う予算が削られているんだから本末転倒。

マークシートのままでは「将来の失業者量産」と煽りつつ、記述式特有の避けられない問題に対しては「国語の記述式の問題は全体のわずかな比率(20点)だから問題ない(大意)」というのも、大いなる矛盾ですよね。

なんというか、この辺の説明を見るに、

担当者に聞いてみると、民間の模擬試験会社は何十年も模試をやってきて、様々なノウハウを持っています。

この人に悪気があるとかいうより、採点を受注したい業者に丸め込まれてる感じかな、とは思いますけど。

「AIにできることしかできない人は失業」という煽りは「絶対にありえない嘘とは言い切れない」微妙なラインを突いてるけれど、仮に本当にそんな時代が来たら、そこから何十年も経たないうちに「AIにできること」が激増して「AIにできることすらできない人だらけ」の社会になりますよ。

「どんな未来が来るかわからないから、多様性を重視して共通テスト廃止(最小化)」とかの方がまだ説得力ありますわ。それはそれで困るけどね。